本に線を引くことに抵抗がありました。本に文字を書くなんてもってのほか。ページの角を折るくらいが関の山。そんな私の抵抗感を取り除き、線を引き文字を書けるようにしてくれた本が「読書の技法(佐藤優)」でした。
出典 Amazon
変化のきっかけは「時間は有限で希少財である」の考え方
昔から「ものは大事にするように」と育てられてきたこともあって、本も大事にする対象です。本に何か書き込むことは大事にする精神に反するため、とても抵抗がありました。この本を読むまでに、読書術の本を何冊か読んできましたが、目の動かし方やページのめくり方というテクニック中心の話が多かったです。テクニックに頼れば、本を汚すことなく早くたくさん読めるようになるので、理にかなっていたようにも思います。しかし、何度試してもそんなテクニックが身に付かず、早く読むどころか、全く頭に入ってこないんですね。結局、1ページ目からじっくり読むことが多くなりました。
この本は「時間は有限」「時間は希少財」という本質的なところに着目しています。だからこそ、読書の時間を価値あるものにするための読み方を紹介してくれていました。
速読は「本当に読む価値があるか見極める」ために行う
速読と熟読は目的が異なると教えてくれました。テレビや雑誌で紹介される「超速読」「右脳でスキャン」みたい読み方は私にはできません。熟読スタイルの方があっていると思い、じっくりしっかり読んでいましたが、全ての本で熟読するのは間違っているようです。
時間を無駄にしないため「この本は本当に私が読む価値があるのか」を速読で見極めるべきと言っています。理解度で言うと速読は熟読には勝てないという前提に立ち、速読は熟読する本を精査するための「手段」であると明確に示してくれています。この考えに深く感銘を受けています。
「もう二度と読まない」という心構え
時間は有限だからこそ、二度と読まないという心構えで読む。つまり本気で読むという姿勢が必要だと理解しました。今まで私は、分からなければ何度も読み返せば良いと甘く考えていました。反省させられます。「本から何かを得る」といった狩猟的な読み方が必要なようです。そのためにチャンスを逃すわけにはいかないので、重要と思った時には即座に線を引き、丸で囲み、分からないところには「?(クエスチョンマーク)」を書き込んで後から重要な箇所が一目でわかるようにしておくことが重要です。今では本には躊躇なく線を引き、文字を書き込めるようになりました。おかげで読み返した時に、書き込んだところだけ読めば良くなり、理解度も格段に上がりました。
目的。目的。目的。全ては「何のために」
何のために本を読むのかによって、本から得られるものが異なってきます。このことは他の書籍でも語られることが多いように思います。字面では理解していましたが、速読と熟読の違いを理解し、有限な時間を意識すると、読む目的の意図することがはっきりと理解できました。本から何を得たいのかをはっきりさせないと娯楽としての読書にしかならないと今では思います。
娯楽としての読書を否定している訳ではなく、私は本から何かを得て日々の生活や仕事を改善していきたいと考えているので、何のために本を読むか、不要なところは読み捨てる意識が重要になると感じています。
最後に
この本との出会いは、メディアによく登場する池上彰さんがきっかけでした。「僕らが毎日やっている 最強の読み方」という本で、池上彰さんと佐藤優さんが対談形式で知識と教養を身につける考え方や技術を繰り広げてくれています。この中で佐藤優さんの読書方法に興味を持ち、「読書の技術」を読むことにしました。この本は自分にとって本と向き合う良い機会を与えてくれた良書と言えそうです。
「目的」を明確にした読書って楽しいですね。それでは、また。