米ハーバード大の入門講座を日本語化、無償公開。その考えに感動したのでまとめてみた

2021年5月13日、 CODEGYMを提供する株式会社LABOTが下記の通りハーバード大学のオンライン講座を日本語化し、CS50.jpとして無償公開しました。どうして無償公開したのかその背景を調べてみたところ、考え方があまりにも素晴らしくて感動したので勝手にまとめさせていただきました。

米ハーバード大学がオンラインで無償公開しているプログラミング学習、コンピュータサイエンスの入門講座「CS50: Introduction to Computer Science」及び「CS50’s Web Programming with Python and JavaScript」をクリエイティブ・コモンズ ライセンスに基づき、日本語に翻訳したウェブサイト「CS50.jp」を公開しましたので、お知らせ致します。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000049664.html より引用

公開されている講座とは?

翻訳されているのはハーバード大学のCS50xと呼ばれるコンピュータサイエンス入門講座となっています。
コンピューターサイエンスとは学問の1つで、コンピューターの仕組み、プログラミング、ハードウェア、ソフトウェアなどコンピュータ全般について幅広い知識を扱います。
CS50xはこのコンピューターサイエンスの入門レベルとなっており、CS50.jpによると扱うテーマの範囲は「アルゴリズム的に考え、問題を効率的に解決する方法を学びます。テーマは、抽象化、アルゴリズム、データ構造、カプセル化、リソース管理、セキュリティ、ソフトウェアエンジニアリング、ウェブ開発など」とされています。また、プログラミングの経験者か未経験者かを問わない、両方を対象とした内容となっています。

今回公開された「CS50: Introduction to Computer Science」は、ハーバード大学のサイトによると11週間のコースで、週に10〜20時間が必要となっています。つまり、110時間〜220時間かけて学べる講座が無償で公開されています。(オンラインなので自分のペースで学ぶことができます)

日本語版の中にYoutube動画が挿入されており、内容は英語ですがYoutubeの日本語翻訳機能を使って日本語字幕で理解できるようになっています。しかし、この機能では機械翻訳のため不自然な日本語で分かりづらいところもありました。これもCS50.jpは翻訳化を進めており、2021年6月〜9月にかけて機械翻訳ではない日本語字幕を作成してくれているそうです。コンピューターサイエンスで使われる英語の中には、日本語にそのまま翻訳すると分かりづらいものもあるため、内容に適した翻訳が用意されるのは学習する上で非常に良いと思います。

なぜ無償公開されるのか?

オリジナルのハーバード大学のコンテンツはedXと呼ばれる仕組みの上で動いているのですが、このedXの考えは次のように記載されています(本家サイトの一部を意訳しています)。

全ての人には可能性がある。その可能性を開花させるために高品質な教育が必要だが、その教育を受けることができるのは少数の人が持つ特権となっている。オンラインを通じて、「一部の人向け」から「全ての人向け」の授業を開講し、何百万人もの学習者の可能性を開花させる。

edXより引用して意訳(https://www.edx.org/about-us)

そして今回、株式会社LABOTも同じ想いを持っており、下記のように語って日本語版コンテンツのすべてを無償化してくれました。

コロナ禍など大学キャンパスの環境が不安定な中で、経済的事情や家庭環境に関わらず、多くの「学びたい意欲のある学生」が、良質な教材に母国語でアクセスできるようにしたいという想いで、CS50 が定める Creative Commons Licence に準拠する形での日本語版の翻訳作業を進め、そのライセンスに基づいて日本語版コンテンツのすべてを無償公開いたしました。

PRTIMESより引用(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000049664.html)

クリエイティブ・コモンズ ライセンスとは何か?

今回の無償公開のベースともなっているクリエイティブ・コモンズ ライセンス(Creative Commons Licence)とは、国際的非営利組織の名称およびプロジェクトの総称となっています。インターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。」という意思表示をするためのルールとなっています。

このライセンスの内容はcs50.jpのサイトにも記載されているので、目を通しておくと良いと思います。営利目的の利用はできませんが、コピーや再配布、変換などが自由に行えると記載されているので、学習を進める上では特に気にすることはないと思います。

最後に

コロナ禍が長引き、外出の自粛や学習環境の悪化により、学ぶ機会が奪われている学生の話もニュースも後を経ちません。そんな中、世界中の教育機関や企業が学生の教育を支援するため、無償でコンテンツが提供されるのは学ぶチャンスが広がることにつながります。しかし、海外の良質なコンテンツが公開されていても、英語だと敷居が高いこともあると思います。今回のような日本語化による支援があることで、日本の学生にとっても同じように学ぶ機会が提供されると思いました。
オンライン環境、ライセンスの整備、技術など、今まで時間をかけて積み重ねてこられたものが、コロナをきっかけに点と点が線でつながり始めているように思います。コロナ禍以前だと考えられなかったことが、今目の前ですごい勢いで起きていると感じ、何だか嬉しくなりました。それでは、また。

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